
身躰構造學研究所
Institute of Physical Structure Science
◆身躰を観る。身躰を究める。身躰から、學問をつくる。
人間の身躰とは何か。構造とは何か。人間は本来どのように動くのか。そして、人間の身躰はどこまで開發できるのか。
身躰構造學研究所は、これらの根源的な問いを追究するための研究機関です。
研究対象は、人間の身躰そのものです。個々の骨や関節を独立した部位として捉えるのではなく、脊椎を中心とする骨格構造、それぞれの構造間関係、重力下における運動、呼吸、波動、全身連繫までを含め、人間の身躰を一つの構造體として研究します。
また、身体を構成する諸構造だけでなく、それらの関係、運動、操作、感覚、さらには具体的な身躰活動として現れる諸現象についても、実際の身躰観察を基礎として研究を進めています。
◆30年 × 約12万人
フィジカリストOuJi身躰構造學の形成には、約30年にわたる身躰研究と、約12万人に及ぶ身躰観察という経験的背景があります。
年齢、体格、運動経験、身躰の使い方など、それぞれ異なる背景を持つ多数の身躰を長年にわたって観察する中で、同じ動作を行っていても内部で生じている運動は必ずしも同じではなく、外形的には類似している身躰にも差異があり、反対に、全く異なって見える身躰の中にも共通する構造や運動現象が存在することを観察してきました。
重要なのは、30年という研究期間と約12万人という観察数を、それぞれ独立した実績として捉えることではありません。
約30年にわたって研究を継続し、その過程において約12万人の異なる身躰を実際に観察してきた。
すなわち、長期間にわたり一つの問題を追究してきた時間的蓄積と、多数の異なる身躰を比較・観察してきた経験的蓄積との掛け算が、現在のフィジカリストOuJi身躰構造學を形成する基盤となっています。
◆理論を先につくらない――まず、身躰を観る
身躰構造學研究所が研究上重視しているのは、既成の理論に身躰を当てはめるのではなく、実際の身躰に生じている現象から研究を始めることです。
「人間はこう動くはずである」「この運動はこうであるはずである」「この身躰はこのように分類されるはずである」といった前提を先に固定してしまえば、目の前の身躰が実際に示している現象を見失う可能性があります。
そのため、研究は実際の身躰観察を基礎とします。外形的な動作の観察、触察、自らの身体を用いた実践、さらに異なる身躰における同一運動の比較などを重ね、そこで実際に何が起きているのかを検討します。
観察によって疑問が生じれば、そこから仮説を立て、実践を通して検討する。新たな身体現象が確認されれば、必要に応じて従来の説明や理論を修正し、再び身躰へ戻って検討を重ねます。
すなわち、身躰の観察から問いを得て、仮説と理論を構築し、それを再び身躰によって検討することが、身躰構造學研究所における研究の基本的な方法です。
◆人間を「脊椎動物」として、もう一度見る
身躰構造學では、人間を、「重力下において、構造通りに運動する脊椎動物」として捉えます。
人間は脊椎動物であり、その身躰は多数の骨によって構成されています。しかし、それぞれの骨が他の構造から独立して運動しているわけではありません。一骨が動けば隣接する骨との関係が変化し、その関係変化はさらに別の構造へとつながっていきます。また、人間の身体運動は、原則として重力との関係の中で行われています。
したがって身躰構造學では、個々の筋肉や関節を切り離して考えるだけではなく、脊椎動物としての骨格構造が、重力下において相互にどのような関係を形成し、どのように連繫しながら一つの身躰運動を成立させているのかを研究します。
立位・坐位・臥位といった基本姿勢、歩行や走行、呼吸、屈曲・伸展・回旋、跳躍など、人間が行うさまざまな身体運動についても、その外形的な「動き方」だけを見るのではなく、それを成立させている身躰構造から捉え直します。
身躰構造學が探究するのは、こうした人間本来の身躰構造、運動原理および互動原理です。
ここでいう構造的な身体観は、筋力そのものを否定するものではありません。しかし、人間の運動を筋力だけによって説明するのでもありません。筋力を付加する以前に、人間という脊椎動物がどのような構造を有し、その構造が重力下において本来どのように運動し得るのかを問い直します。
現代人において十分に発揮されなくなっている可能性のある「構造通りに動く」という本来性を、実際の身躰から観察し、その原初的な構造と運動を研究し、再構築すること。それが、身躰構造學における基本的な研究視座です。
◆身躰構造に関する理論研究
身躰構造學研究所では、脊椎、肋骨、骨盤、仙骨、寛骨、大腿骨、上腕骨、肩胛骨、鎖骨、手骨、足骨など、人間の身躰を構成するさまざまな骨格構造を研究対象としています。
ただし、その研究を一骨のみで完結させることはありません。一骨が運動すれば、他の構造との相対的位置関係も必ず変化するからです。
そのため、一骨そのものの形態や運動だけではなく、骨と骨との構造間関係、その関係が運動によってどのように変化するのか、さらに複数の構造が互いに関係することで一つの身躰運動がどのように成立するのかまでを研究対象とします。
例えば、上肢と体幹、下肢と骨盤、骨盤と脊椎、脊椎と肋骨など、一つの構造を他の構造との関係から観察することで、単独の部位だけを見ていては捉えにくい身体運動の実態を検討します。
また、約30年にわたる身躰研究と多数の身躰観察から生まれてきた独自の身体概念についても、定義、整理、體系化を進めています。
その目的は、単に新しい身体用語を増やすことではありません。実際の身躰に起きている現象を、より精確に記述し、検討することのできる理論を構築することにあります。
◆身躰運動・身躰操作の実践研究
身躰構造學は、静止した身体の形態のみを対象とする學問ではなく、また机上の理論だけで完結するものでもありません。
立位・坐位・臥位といった基本姿勢から、歩行、走行、屈曲、伸展、回旋、跳躍、把持、呼吸などの日常的な身体運動、さらに武術やスポーツにおける高度な身体運動までを研究対象としています。
ここで重視するのは、動作の外形だけではなく、その運動がどのような身躰構造によって成立しているのかという点です。
具体的には、どの構造が運動へ参加しているのか、それぞれの構造間関係がどのような順序と方向で変化しているのか、一部の構造へ運動が過度に集中していないか、また構造間関係の変化によって運動全体がどのように変化するのかを観察します。
さらに、身躰操作によって、それまで十分に運動へ参加していなかった構造を参加可能にすることができるのか、その際に全身の運動がどのように変化するのかについても実践的に検討します。
理論を実際の身躰によって検討し、実際の身躰から得られた現象を再び理論へ戻す。 この往還によって、身躰運動および身躰操作の研究を進めています。
◆研究と実践を分断しない
身躰構造學研究所では、研究、実践、教育および身躰観察を、それぞれ独立した活動として分離していません。
研究によって得られた知見は、実際の身躰を通して検討され、講座や動画等を通じて傳えられます。一方、講座や実践の場では、異なる身躰における身体現象を新たに観察する機会が生まれます。その過程で、既存の理論では十分に説明できない現象や新たな疑問が見いだされれば、それらを再び研究課題として扱い、理論や方法を検討します。
また、人に傳えるという過程そのものによって、それまで暗黙的であった身体認識や、理論上曖昧であった部分が明確になることもあります。
したがって、実践は研究成果を社会へ傳えるための出口であるだけではなく、次の研究課題を生み出す入口でもあります。
研究、実践、教育、身躰観察を相互に往還させながら、身躰構造學そのものを更新していくことが、研究所の活動上の特徴です。
◆研究成果を、講座・動画・論考へ
身躰構造學研究所における研究成果は、一つの形式に限定して発表するものではありません。
理論的な考察や概念整理を必要とする内容については研究論考として文章化し、実際の身躰運動として傳えることが適切なものについては講座や実技へ、繰り返し學び実践できる形式が適するものについては動画セミナーへと展開しています。
講座や動画も、研究成果を一方向的に傳達するだけのものではありません。実践を通して新たな身体現象が観察され、そこから新しい疑問や研究課題が生じれば、その結果を再び理論研究へ還元します。
このように、研究成果を論考・講座・動画へ展開すると同時に、実践から得られた新たな観察を次の研究へ還元する双方向の関係を重視しています。
◆身躰構造學研究所・研究論考
身躰構造學研究所では、研究、身体観察および考察によって得られた内容を、「身躰構造學研究所・研究論考」として継続的に発表しています。
身躰構造學研究所・研究論考は、身躰に関する問題提起、既存概念の再検討、観察された身体現象の整理、新たな術語の定義、仮説の提示等を通して、その時点における研究の到達点を文章として記録するものです。
したがって、研究論考は最終的な答えを固定するためのものではありません。研究の進展によって定義がより精密になることもあれば、新たな身体観察によって従来の説明を修正する必要が生じることもあります。
一篇一篇の研究論考は個別の研究成果であると同時に、フィジカリストOuJi身躰構造學がどのような問いから形成され、どのように発展し、理論を精密化してきたのかを記録する研究史としての意味も持っています。
◆経験を、検証可能な研究へ
約30年にわたる身躰研究と約12万人に及ぶ身躰観察は、身躰構造學にとって重要な経験的基盤です。
しかし、30年間研究を継続してきたという事実や、約12万人を観察してきたという経験量そのものによって、個々の理論が科学的に実証されたことにはなりません。
身躰構造學研究所では、この点を明確に区別しています。
長期間かつ多数の身体を観察してきた経験が研究上持つ重要な価値の一つは、検討すべき身体現象を発見し、研究すべき問いを生み出すことができる点にあります。
経験的に繰り返し観察されてきた現象について、何をもってその現象が生じたと判定するのか、第三者も同様の現象を観察できるのか、同一条件において再現されるのか、介入前後で何が変化するのか、さらに客観的な測定が可能なのかを検討していく必要があります。
したがって、約30年 × 約12万人という経験的基盤から生まれた問いを、定義、測定、検証へと進めることが、今後の研究における重要な課題となります。
◆客観的測定と再現性
身躰構造學研究所が今後進めていく重要な研究課題の一つに、客観的測定および再現性の検討があります。
フィジカリストOuJi自身が観察または触察によって認識できる身体現象であっても、それだけで研究を完結させることはできません。異なる観察者が同じ身躰を評価した場合にも同様の判定が得られるのか、同一観察者が繰り返し評価した際に結果が一致するのかを検討する必要があります。
さらに、触察による所見と客観的測定との対応、介入前後における身体運動の変化、最大可動域だけでは捉えられない身体内部の運動分布等についても、測定方法そのものを含めて検討する必要があります。
また、身躰構造學において使用している独自概念についても、第三者が観察・測定・検証できる形へと操作的に定義していく必要があります。
例えば、ある概念が研究者本人の経験や感覚によってのみ判定されるのであれば、その概念は研究上の共有可能性に限界があります。どのような身体現象をもってその概念が成立したと判断するのか、その判定基準を明示し、異なる観察者間で同様の評価が可能であるかを検討することが重要です。
こうした研究を重ねることによって、身躰構造學を個人的な経験知に留めるのではなく、第三者による検証が可能な共有可能性のある身体知へと発展させることを目指します。
◆研究結果によって、理論を更新する
身躰構造學研究所は、現在の理論が正しいことを証明することだけを目的とした研究機関ではありません。
研究によって、既存の仮説が支持されることもあれば、支持されないこともあります。また、現在一つの現象として理解しているものが、実際には複数の異なる現象から構成されていることが明らかになる可能性もあります。既に使用している術語の定義や、これまでの説明そのものを修正する必要が生じることもあるでしょう。
その場合に重要なのは、理論を維持するために身体現象を解釈し直すことではありません。
実際の身躰と理論が一致しないのであれば、修正すべきは理論の側です。
身躰構造學は、実際の身躰観察から形成されてきた學問です。したがって、研究によって新たな事実が得られた場合には、それを受け入れ、理論や定義を更新していく必要があります。
身躰から生まれた學問だからこそ、身躰によって検証され、身躰によって更新され続ける。これが、身躰構造學研究所の基本的な研究姿勢です。
◆研究対象は、人間の身躰そのもの
身躰構造學研究所が追究する対象は、特定の一つの運動や、一つの骨、一つの技法に限定されるものではありません。
個別の構造や運動を研究することは重要ですが、その研究は最終的に、「人間の身躰とは何か」という根源的な問いへとつながっています。
人間の身躰は、どのような構造を持ち、重力下においてどのように運動し得るのか。複数の構造は、どのような関係を形成しながら一つの身体運動を成立させているのか。そして、その身躰はどこまで開發することができるのか。
約30年にわたり研究を継続し、約12万人に及ぶ身躰を観察してきた現在においても、なお未解明の問題は数多く残されています。
だからこそ、研究は継続します。
新たな身躰現象が観察されれば、その現象について改めて問いを立て、必要に応じて実践と理論を見直し、再び身躰へ戻って検討する。この研究姿勢を継続することによって、身躰構造學をさらに深めていきます。
◆身躰構造學研究所
Institute of Physical Structure Science
身躰構造學研究所は、約30年にわたる身躰研究と、約12万人に及ぶ身躰観察を経験的基盤とし、人間の身躰構造、運動原理、互動原理、身体操作、およびそれらから生じる身躰現象を研究する機関です。
研究成果は、理論研究、実践研究、講座、動画セミナー、そして「身躰構造學研究所・研究論考」等を通して発表するとともに、それぞれの実践から得られた新たな観察を次の研究へ還元します。
今後は、長年蓄積してきた経験的身体知を、客観的測定および再現性研究へと進め、第三者が観察・検証可能な形へと整備していきます。
身躰構造學研究所が追究する問いは、一貫しています。
人間の身躰とは何か。
人間は、本来どのように動くのか。
そして、その身躰はどこまで開發できるのか。
身躰を観察し、そこから問いを得て、理論を構築し、再び身躰によって検討する。
この往還を積み重ねながら、身躰構造學の研究を進めていきます。
身躰構造學研究所
Institute of Physical Structure Science
創始・研究
フィジカリストOuJiこと河上雄太
株式会社 立腰ジャパン